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JSPS-NRFアジア学術セミナー2012

開催レポート

本セミナーで得られた成果

(1)学術的な観点からの成果について

本セミナーでは、「セミナーの目的」に示したとおり、高齢者支援技術分野における学術研究の先端を学ぶだけでなく、研究方向、研究方法、その評価について、どうあるべきか考える機会を研究者へ提供することを目的としています。本セミナーは、車椅子やシーティング関連製品の販売を行う会社を経営し、自らも車椅子利用者である山崎泰広氏による「研究者とエンドユーザの間にある相互不理解やニーズ把握の重要性」に関する講演に始まり、真に社会に役立つ支援技術とは何かについての問題提起を受けました。このことにより、参加者は、セミナー講義において高齢者支援技術、スマートハウス、スマートシティの開発など学術研究の先端を学ぶだけでなく、「人の手で助けるだけではなく道具を駆使し、自立を支援すること」、「現状に対応するだけの目的ではなく、次に来る時代に対応できるように、ひとつ上を目指した目的を考えること」の重要性を再認識したうえで、自らの研究課題の設定を行いました。さらに、セミナー期間中には、フィールドワークでの高齢者向け施設の見学及びインタビュー等を通じ、ニーズの把握(Needs-Finding)、研究開発コンセプトの設定の重要性(Design Thinking)を認識することができました。次世代を担う若手研究者がこのセミナーを通じ、単に研究者の興味や思いつきではなく、あらゆる観点から複数の学問分野の人々が協業して検討し、さらにはユーザも検討グループに加わることの重要性(User-centered Design)を認識できたことは大きいと考えます。今後、常にこうした研究開発コンセプトの重要性を認識しながら自らの研究活動を続けることによって、真に実社会に貢献する研究成果が生まれてくることが大いに期待されます。

(2)国際交流及び若手研究者育成の観点からの成果について

本セミナーでは、文化背景・専門分野が異なる受講生を4~5名程度のグループに分け、フィールド調査及びグループディスカッションなどをグループに課しました。グループ内の議論、活動を行うために自然とグループメンバーの交流が醸成され、ここでの交流が将来の国際共同研究の芽となることが大いに期待されます。また、異なる研究機関の研究者、異なる文化背景をもつ研究者と議論し、プレゼンテーションを行うという経験を通じて、国際的な研究プロジェクトに参加するためのトレーニングを積むことができました。当該研究分野は、多くの国が共通して直面する解決すべき研究テーマが数多くあり、国や地域が連携した国際的な研究活動が期待されている一方、国際的な研究活動には異なる文化背景や社会制度等への適合(Adjustment)が重要となります。その意味においても次世代を担う若手研究者がグループ活動を通じ、国際共同研究のマインドセットを得たことは重要であると考えます。本セミナーによって得られた成果は、高齢者支援技術にとどまらず、益々必要とされる分野領域・文化を超えた様々な研究取組にも生かされるものと期待しています。

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